PN符号とは

PN符号とは、CDMA方式の携帯電話システムなどで採用されているスペクトラム拡散に用いられる拡散符号系列のことであり、疑似乱数系 列とも呼ばれます。PNはPseudo Noise(疑似雑音)略です。このPN符号は、見事な相関特性をもつためにさまざまな通信や計測に用いられます。

PN符号の位相差ゼロでの(循環)自己相関関数(=同じ符号同士の内積値)は大きな値をとります。一方、異なる2つのPN符号の(循環)相互相関関数は小さな値となります。位相差をもつときの相関特性(内積値)は、PN符号の代表であるM系列とGold系列で異なります。

すなわち、信号の発信側でPN符号を用いて信号を変調し、受信側でも同じPN符号を用いることで信号を復調することができます。 仮に、他のPN符号を用いて複合を試みた場合は、復調をすることができません。これはGold系列を用いて携帯電話の通信にも応用されています。

周波数分割とCDMA

テレビやラジオの通信には周波数分割方式が採用されています。これは、それぞれの局が決められた周波数帯で信号を変調して送信し、視聴者がテレビやラジオの端末の受信周波数を視聴したい局のものに合わせることで視聴をする方法です。

周波数分割方式では、周波数を分割するために、送信者の数を多くすることはできません。さらに、受信したい者がその周波数さえわかれば受信できてしまうために、秘密の通信には使用できません。

周波数分割方式のこの2つの欠点を克服しているのがCDMA方式です。CDMAは携帯電話のサービス名として聞いたことのある人も多いと思います。CDMAでは、同じ周波数帯で多数の信号の送受信をすることができます。そこで使用されているのがPN符号です。

CDMA方式では、あらかじめ送信者と受信者で取り決めをしておいたPN符号で信号の変調と復調を行います。したがって、そのPN符号を知らない第三者は信号を受信することはできるものの、復調をすることはできません。つまり、個々のPN符号が鍵の役割を果たしているのです。

携帯電話では、それぞれの電話番号に個別のPN符号が割り振られており、鍵の役割を果たしているのです。したがって、知り合いに電話をかけた場合、知り合いを含めた全ての携帯電話がそれ受信をします。しかし、知り合い以外の携帯電話では、受信した信号を復調するための鍵(PN符号)が異なるため、携帯電話の呼び出し音は鳴らないのです。




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